ゼビウス ファードラウト伝説(PCエンジン)

作品の特徴

  • 新作のファードラウトモードと、アーケード版を移植したアーケード版を遊べる
  • アーケードモードは、見た目は忠実移植(同時発色数が少ないのか若干の違いはある)だが、プレイ感覚はまったく別物と言って良い
  • ファードラウトモード
    • 小説「ファードラウト」に沿って展開し、パワーアップ要素、新たな敵キャラクタ、メロディラインのあるBGM、最終目標ガンプが登場する
    • ラウンド3以外は、最終目標としてガンプの要塞が登場し、スクロールが停止しボス戦となる
    • ラウンドの最終エリア以外は、マップのスクロール70%以上でミスしてもクリアと見なされる(アーケードと同じ)
    • ザッパーとブラスターのパワーアップとしてそれぞれ、攻撃範囲が広がるワイド、連射性能が上がるラピッドがある
    • シオナイトをバリアとして装備する、シオナイトアタック(両翼前方で障壁になる)、シオナイトロール(自機の周囲を反時計回りに旋回する)がある

ファードラウトモード

ゼビウスの壮大なストーリーを追う形で4ラウンドが構成されており、各ラウンドの冒頭にストーリーをイラストと文章で紹介するデモが挿入されます。 このうちラウンド3は、アーケード版のエリア7~16を侵攻し、その他のラウンドは背景マップ以外新作となっています。 なお、本作に追加された敵キャラクターは、ラウンド3には出現しません。

自機はラウンド1がギゼ・ビトル、ラウンド2がタルケン改、ラウンド3以降はソル・バルウとなっています。 機体性能は恐らく変わりませんが、ラウンド毎に出現するパワーアップアイテムの種類が決まっているため、実質ソル・バルウの性能が最も高いです。

パワーアップアイテムは、トラス(アーケード版の未使用キャラクタ)を撃つと出現し、アイテムを取得することで装備されます。 中でも後半面で出現するシオナイト(バリア)は、装備前提での難易度設定となっており、これを無くすことなく維持して行けるかが攻略の鍵となります。 しかし、何が出るかはランダムであり、テックニックだけでは対応できません。 場所が悪いとシオナイトを無くしただけで、すべての残機を失うことに繋がります。

全体的にゲームバランスの調整が悪く、せっかくの世界観を壊してしまっています。 ゼビウスが持つストーリー性、神秘性、キャラクタ設定など、ストイックさは微塵も無くなり、はっきり言って大雑把な出来の悪いシューティングという印象です。 なぜか中古市場では高値になっていますが、その価値があるかは微妙です。

本作最難関エリア/エリア19(ラウンド4-3)

シオナイトを持っていないとかなり厳しい、本作の最難関エリアだと思います。 このエリアにはブラグ・ザカートを伴なったアンドア・ジェネシスが2基登場しますが、1基目までにアイテムを1個しか回収できません。 このアイテムがシオナイトでない場合、ブラグ・ザカート×1+アンドア・ジェネシス(耐久力2)をガチ避けしないといけなくなり、すぐブラグ・ザカート×2に切り替わるので、アンドア・ジェネシスの瞬殺が要求されます。 また、2基目のアンドア・ジェネシス(耐久力4)の前にワイプ(バリアの回復アイテム)が出ないと、とてもバリアが持ちません。

シオナイト以外では、ワイドブラスターを持っていればコア破壊を狙い、それ以外で隙があれば手前のアルゴを壊して逃がす、という対処が有効です。 アンドア・ジェネシスの弾は自機狙いなので大きく避けつつ、ブラグ・ザカートの弾にできるだけ集中して粘りましょう。 アイテムが出てきても、シオナイトかアンチエアクラフト以外は無視してください。

とにかくこのエリアは運次第、シオナイトを首尾よく引けること、ブラグ・ザカートが厳しい場所に出ないことを、ひたすら待ちましょう。

ジートラスジェネシスがめちゃくちゃ強い/エリア21(ラウンド4-5)

このエリアは開始直後にジートラス・ジェネシスとガチ避けバトルになりますが、リスタートだとアイテムは1個も回収できません。 ランダムに動き回るゾシーを中心に打ち落としつつ、ジートラスに当てる展開になりますが、自機と同じ速度で動くので追いつけません。 動きは毎回一緒のようなので、覚えて先回りしたいところですが、空中物との複合攻撃でそんな余裕は無いため、アドリブ避けが要求されます。

耐久力についてWikiPediaには、「ザッパー48発分の耐久力を持つ」と書いてありますがこれは誤りです。 ノーミス進行などレベルが上がっているときは、尋常でないほどの撃ち込みが破壊に必要になります。

ジートラス・ジェネシスをやり過ごしても、アンドア・ジェネシスが2基、ブラグ・ザカートと共に再登場します。 ただ、エリア19と違ってブラグ・ザカートの攻撃が易しいのでそれほど難しくありません。 1基目(耐久力4)は、ブラグ・ザカートのタイミングを見て、1発ずつ慎重に決めて行きましょう。 2基目(耐久力2)は、少し粘ると70%ラインを超えるので、避けに徹して近づかないようにするのも手です。

問題点

  • ゲームバランスの悪さ
    • 空中物の軌道が自機が攻撃できない方向(斜め横の角度)が多く、かつ速いため体当たりされることが多い(ワイドを取っても幅が広がるのみで、斜め方向には撃てない)
    • パワーアップを失うとラウンド4は極端に難しくなる(ブラグ・ザカート、ブラグカピ、ガルドモグラムと5方向弾を撃つ敵が多く、シオナイトバリア前提の難易度となっている)
    • パワーアップで何が出るかはランダムになっており、特にラウンド4の復活はこれの引き次第になる場面が多い(特にシオナイトが出るか出ないかで違ってくる)
    • 地上の敵がごちゃっと固まっていたり、印象に残る知的でセンスを感じるような配置がなく、破壊する順序で攻略すると言ったゲーム性になっていない(シオナイトバリアでゴリ押しか、諦めて弾避けか、と言った場面が多い)
  • パワーアップアイテム
    • トラス(アイテムキャリア)は、上の方で破壊すると手が届かないので下りてくるまで取れない、破壊後は滞留のし方をコントロールできない、固まって出た場合バラけない、など非常に取りにくい
    • 出現するアイテムの種類がランダムなので、パターン化できないにも関わらず、シオナイトなどのアイテムが無いと突破が異常に難しい場面がある
    • ワイドザッパーは当たり判定が広くなるが、何段階なのか分かり難い(2個で1段階アップするようだ)
    • ラピッドザッパーは取りすぎると弾が団子になって、かえって弾幕が張れなくなる(上げ過ぎても使いどころは、ギドガウルジェネシス、ジートラスジェネシスに限られる)
    • ワイドブラスターはラピッドブラスターと組み合わせた、連射中は効果が無くなる
    • ラピッドブラスターは連射と着弾時間も短くなるが、移動する地上物に対するタイミングがずれるので当てにくくなる
    • シオナイトアタックの「合体して前方に飛ばす」ギミックの使いどころが分からない
  • ラウンド構成
    • ラウンド1が2面しかなく前後に長いデモが挿入されるのでテンポが悪い
    • ラウンド1の地上物が左半分に偏り過ぎており、チュートリアル的な配置も見られない
    • ラウンド3(アーケード版のエリア7~16)が、パワーアップのお陰でボーナスステージと化している(単調で長い)
    • ラウンド4の難易度が高すぎる(常に5ウェイ弾を放つ敵が出続け、シオナイトが無いと著しく難しくなる)
    • ラウンド4(エリア21)のジートラスジェネシスが強すぎる
      • 動きが速くランダムっぽい(動きは決まっている)動きで対処し辛い
      • 画面下まで下りてくるため逃げ場が無くなる
      • ゾシーやタルケンを至近距離で放たれる
      • 加えて常にジアラが出現する
  • 背景に新しい要素が無い
    • エリアの切り出し方や敵配置に特徴がなく、似たようなエリアが繰り返される
    • 約半分に近いエリアがアーケード版の使いまわし(新規13、使いまわし10)
    • 各ラウンドの間は数千~万年もの時代差があるのに、背景パターンが何も変わっていない(1万年以上前に同じ埠頭や飛行場がある)
    • ラウンド3最終面(エリア6)とラウンド4開始面(エリア7)が、まったく同じ背景パターンで連続する(そもそもナスカの地上絵は1400~2200年前に描かれたとされ、ラウンド3は1万2千年前なのである訳が無い)
  • ラウンド間に挿入されるストーリー紹介が退屈で長い(ゲームスタート時は長すぎ、無音での文字スクロール、もう少し工夫して欲しかった)
  • 画面左右の端にいると何も無いところでやられることがある(反対側の当たり判定がループしている可能性あり)
  • 画面下部に消えた敵からスパリオを撃たれることがある(逆に画面下の敵に、画面上のザッパーが当たることもある)
  • ガル・ザカートやガル・ログラムが放つブラグスパリオ(誘導弾)の誘導性能が高く、画面外に消えたと思っても戻ってくる場合が非常に多い
  • ジグザカート(相殺可能な誘導弾を放つ)が、ブラグザカートと同じ見た目で判別できない
  • ガル・ボザ・ガンプのところで、稀に出るアンチエアクラフトは取っても効果が無い(だったら出すなと思う)
  • クリア後エンディング画面から抜けられず、クリア時の得点も確認できない

ラスボスの稼ぎ方(半永久パターン)

ラスボス直前のリスタート地点にスペシャルフラッグがあるので、ドラゴンスピリットのように残機を維持できる分だけ点数稼ぎができます。 リスタート直後少し左に移動し、右に横断爆撃を行いスペシャルフラッグを出します。 すばやく取得し、ガルログラムの誘導弾の1波目を画面右端でかわします。 後は、ガル・ログラムを優先して、ガル・デロータその他を壊しながら、ガンプまで行くの繰り返しです。

ガンプのところまで、ガル・デロータやガル・ログラム(共に2000点)をできるだけ壊せば、1回で2万点以上稼げます。 逆にガンプで粘ってもガル・ログラムの復活が遅いので点効率は悪いです(ここで粘って空中物テーブルを回しても安いので、リスタートのが良い)。

慣れてくると、ほぼ確実にスペシャルフラッグが取れるようになり、得点エクステンドも合わせると、残機もプラスフローで終わらなくなります。

1000万点到達すると...

実際に検証してみたところ、千万の桁は表示されず、ゼロパディングされる表記でカウントされ続けました。 ちなみに、残機は100機で「0(ゼロ)」となりますが、表示上の問題っぽいです。 スクショの状態で、1,0062,120pts、残機100を表示しているものと思われます。

画面に出ているゾーラは、ガンプのところでかなりテーブルを回さないと出て来ないキャラクタです。 この後、2回ゾーラが出てから、ジグ・ザカート、テラジと強敵ばかり出てきて面白いのですが、ミス数回で先頭のトーロイドまで巻き戻ってしまい、なかなかお目にかかれません。

その他

  • ラウンドを通してエリアは全部で23あり、ラウンド3のエリア7~16は通しのエリア番号と合致している(つまり、エリア1~6は新作マップに置き換えられ、エリア17以降にも新作エリアが追加される形になる)
  • ソルとスペシャルフラッグの本数が、アーケード版のそれぞれのトータル本数と一致する(エリア6のバグソルは除く)
  • ラウンド2のボスを倒すことができた場合(人間技では不可能に近いのだが)、ラウンド3を飛ばしてラウンド4に行くことができる
  • ラウンド3(アーケード版のエリア9、14)は、シオナイトを装備していなくても本来のシオナイトは出現しない
  • アンドア・ジェネシスはラウンド2~3に出てくるグレーの機体のみ、コア、アルゴ、ランプが脈動する
  • ファードラウトモードのドモグラムは停止できる
  • ドモグラムの影は描画ミス(私はそう判断している)でスリットがあるが、ガルドモグラムの影にも律儀にスリットが入っている
  • プレイヤー機体のギゼ・ビトルとタルケン改のスプライトは8色使用されており、ソルバルウの7色より多い
  • 森の中に黒くて小さなパックマンが隠れている(ワールドマップ上の左上と右下付近の2箇所)

資料

アーケードモード

グラフィック以外の移植度が低いのでほとんど別物と考えたほうが良く、シューティングゲームとしても出来が良くありません。 難易度も低く、他のゼビウスをプレイしたことがあれば初回プレイでも、クリアできるレベルだと思います。

主な相違点

  • 画面の縦と横の違いで、マップ上の見える範囲が異なり、エリアによっては違和感がある
  • 背景マップはアーケードと異なるマップチップが使われており、繋げてみるとワールドマップのサイズが984×2048ピクセルと2キャラ半横幅が狭い(アーケードは1024×2048)
  • 地上物配置は、ほぼアーケード版と同じだが、背景マップに合わせて違っている箇所もある
    • エリア3地上絵手前のログラムがバーラになっている
    • エリア6最後のゾルバクがログラムになっている
    • エリア12冒頭のドモグラムが1台足りない
    • エリア13の3台目と4台目のグロブダーの動きが逆になっている
    • エリア15最後のソル左手の緑地にあるゾルバク、ログラム、ゾルバクが直線状に並んでいない
    • エリア15の川を渡って北上するドモグラム3台のうち、下2台が引き返さずにそのまま1台目の後を追っていく
    • その他、ドモグラムの移動パターンが違う箇所がある
  • 空中物の移動アルゴリズムがかなり異なる(横方向の移動成分が強い)
  • 空中物やバキュラの出現場所やタイミングが異なる(エリア2ではっきり分かるほど違う)
  • トーロイドとタルケンなど、複合攻撃では無かった組み合わせが出現する
  • 普通にプレイしていると強い空中物はあまり当たらない
  • バックアタックゾシーが画面の四隅のほぼ固定位置から現れる
  • グロブダーの動きが速い(特にダッシュするタイプは異常に速い)
  • 1万点グロブダーの回避動作は1度のみで破壊は容易(早めに動かして停止したところを狙うか、だいぶ手前にブラスターを落とせば自ら当たりに来る)
  • エリア12最後のグロブダーが停止している機体だが、得点が1000点(アーケードでは1500点“停止→爆撃でバック”、1000点の機体は“前進→爆撃で停止”)となっている
  • ガルザカートのブラグスパリオにザッパーが当たらない
  • ガルザカートのブラグスパリオは速度が遅く、軌道が大回りで画面外から戻って来ることもある
  • シオナイトがバリア性能を持っている(ゾシーを引き連れて行くと確認できる)
  • ソルバルウのドット絵が異なる(ハイライトがピュアホワイトで広く、ブルーラインもピュアブルーに近い)
  • ソルのアニメーションが6パターンになっている(アーケードは7パターン)/5パターン目の影に左右非対称の描画ミス
  • アンドア・ジェネシスはコアからも発弾する
  • アンドア・ジェネシスの色が無彩色のグレーになっている(本来はブルー成分を少し下げた色をしている、ファードラウトモードの耐久力2の機体がアーケードに近い)
  • アンドア・ジェネシスのコアがアニメーションしない
  • アンドア・ジェネシスが機能停止しても赤いランプが光り続ける
  • サウンドはBGM、SE共にオリジナルの雰囲気とだいぶ異なる(重厚感がなく軽いイメージ)
  • ミスしてリスタートする際のタイミングが早く忙しない(爆発音のあと少し間を入れて欲しかった)
  • 開幕メッセージ、エリア6のバグソルは共に出現しない
  • 背景ワールドマップ上の右下(エリア2,16の最初)、左上(エリア7の最後)にパックマンが隠れている

資料

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